広島大学大学院人間社会科学研究科音楽文化教育学領域は、ドイツのジーゲン大学第2学部音楽研究所(Universität Siegen, Fakultät II, Institut Musik)と研究交流を行っています。2025年6〜7月には、ジーゲン大学よりベルント・クラウゼン教授(音楽教育学)、鈴木慧研究員(音楽教育学)が広島大学を訪問され、セミナー、ワークショップ、博士課程後期学生を中心とした研究コロキウムの開催、附属学校での授業観察などを行いました。また、2025年11月上旬には、鈴木研究員が、調査のために広島大学に研究滞在されました。このような交流の経緯をふまえ、本領域より、准教授の伊藤真と博士課程後期学生の武島千明が、2025年12月1日(月)~5日(金)にジーゲン大学を訪問しました。
2025年12月1日(月)
10:30-12:00に、伊藤准教授による「Lernen durch und mit Musik: Musik als Unterrichtsfach und als Teil von Schulkultur(音楽を通した学習:教科および学校文化としての音楽)」と題したセミナーが実施されました。同セミナーには、音楽教育の学生を中心に9名が参加しました。日本の学校教育における音楽科カリキュラムや音楽的経験について比較音楽教育の視点から話をするなかで、参加者らは伊藤准教授と対話を通して、ドイツとの共通点・相違点に関する理解を深めていました。
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その後、ジーゲン大学の物理教授学コースの天文台を見学しました。技術スタッフのクリストフ・シュプリンゴブ氏より設備に関する説明を受け、ジーゲン大学における充実した教育活動の具体を知ることができました。
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14:00-15:30には、鈴木研究員の担当する研究方法のセミナーのなかで、武島さんの個人研究で採用している研究方法論に関する説明がなされました。受講者らは、研究者によって記述されたエピソードをコーディングする作業を通して、質的研究における主観の扱いに関する考えを深めていました。
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その後、クラウゼン教授、伊藤准教授、鈴木研究員、フィリックス・ルーデヴィヒ研究員、武島さんの5名で、共同研究プロジェクトに関する討議を行いました。
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2025年12月2日(火)
7:55-12:30に、ロスターベルク総合制学校(Gesamtschule auf dem Rosterberg)を訪問し、授業観察ならびに協議会を行いました。クラウゼン教授、伊藤准教授、鈴木研究員、ルーデヴィヒ研究員、武島さんの5名は、マークス・ホイザー先生による5年生の鑑賞の授業(1限目)、クリスティアーネ・ジーベル先生による6年生の鑑賞の授業(3・4限目)を観察しました。また、授業後には、授業者の先生方に加え、フローリアン・クラフト校長、教務主任のミーケ・ブロムバッハ先生も交えて協議会を行いました。協議では、授業をふまえた気づきが共有されたほか、ドイツと日本の学校を取り巻く状況の共通点・相違点が議論されました。
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13:00には、ジーゲン大学・第2学部のトーマス・ケレン学部長を表敬訪問しました。両大学の状況や、今後の交流の継続に関して情報交換を行い、近日締結予定の部局間国際交流協定について確認がなされました。
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2025年12月3日(水)
13:00より、ジーゲン大学のキャンパス内を見学しました。ルーデヴィヒ研究員に大学図書館や講義室などを案内してもらい、ジーゲン大学の設備や学生生活の具体を知ることができました。
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18:00より、ジーゲン大学音楽ホールにて「Musikalischer Gruß aus Japan(日本からの音楽のあいさつ)」と題したコンサートが開催されました。伊藤准教授は箏の演奏を、武島さんは歌唱を披露しました。ジーゲン大学からは、鈴木研究員(歌唱・ピアノ)、ルーデヴィヒ研究員(ピアノ)に加え、トアステン・ワーグナー先生(ピアノ)、前島直孝先生(チェロ)が参加し、日本の伝統音楽、唱歌、現代作品などをともに演奏しました。 演奏会には約20名が来場しました。観客は、普段あまり耳にする機会のない日本の音楽の響きを味わったり、初めて見る箏の演奏に興味を示したりしていました。
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2025年12月4日(木)
10:15より、ジーゲン大学音楽ホールにて、伊藤准教授による箏のワークショップが開催されました。 ワークショップには、音楽教育の学生を中心に箏や日本文化に関心のある12名が参加しました。参加者は、実際の楽器にふれながら、箏の音色や特徴、奏法などを学び、即興的な演奏表現に挑戦しました。
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14:00-18:00には、音楽研究所の博士課程学生を中心とした研究コロキウムに参加しました。コロキウムには、ジーゲン大学のクラウゼン教授、エブリン・ブイケン教授(音楽学・サウンドスタディーズ)、ハンブルク大学のベンヤミン・アイバッハ教授を含め、10名が参加しました。コロキウムでは、鈴木研究員、ルーデヴィヒ研究員、ザラ・バイムディーケ研究員(ここまでジーゲン大学)に加え、ハンブルク大学へ交換留学中の樋口史都さん(博士課程後期院生)が研究発表を行いました。日本とドイツの研究者がそれぞれの視点から質疑応答を行うことで、4名の研究に関する議論がいっそう深まりました。
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12月5日(金)
9:00-12:00に、エヴァンゲーリシュ中・高等学校(Evangelisches Gymnasium Siegen)を訪問し、授業観察ならびに協議会を行いました。クラウゼン教授、伊藤准教授、鈴木研究員、ルーデヴィヒ研究員、武島さん、樋口さんの6名は、ヨハネス・ライスマン先生による10年生の鑑賞の授業(1限目)ならびにレナーテ・ブレンナー先生による5年生の弦楽器の授業(2限目)、クリスティアン・レー先生による5年生の鑑賞の授業(3限目)を観察しました。また、授業後には、ライスマン先生、ブレンナー先生とともに協議会を行いました。協議では、授業をふまえた気づきが共有されたほか、ドイツの入試制度をふまえた学校教育の現状について情報交換がなされました。
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最後に、14:00よりクラウゼン教授、伊藤准教授、鈴木研究員、ルーデヴィヒ研究員、武島さんの5名で、共同研究プロジェクトに関する討議と今回の滞在の総括がなされました。総括のなかでは、両大学の今後の交流の継続と発展に関する具体が話題に挙がりました。
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今後も、広島大学大学院人間社会科学研究科音楽文化教育学領域は、ジーゲン大学との研究交流をさらに発展させていく予定です。
(文責:武島千明)
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